きちんと『見立て』る。
弊社の特徴は、事業の『見立て』(市場環境分析・戦略立案)と『仕立て』(サービス設計・事業開発)の双方を一気通貫で行える点にあります。そして、特に重視しているのが『見立て』です。
たとえば新規事業。
カットオーバー後、当初の目論見通りにならず、なかなか数字が上がっていかない・・・。こんなときは、そもそもの『見立て』がよくなかったのか、『仕立て』に問題があるのか。ここを切り分けて、判断します。・十分な顕在ニーズがある(顧客数・顧客単価が十分な規模で存在する)
・競争環境が緩やかである
・競合のなかには成功しているサービスもある
・・・ということであれば、『見立て』はまず間違っていません。サービスの『仕立て』に問題がある可能性が高いので、顧客インタビュー等を行い、競合と自社のサービスをレビューすることで打開策が見つかるはずです。(レビューは『Wish=意向・感想』ではなく『Fact=事実』を把握することに留意)
「マーケットがあるはず」の誤謬。
上記のようなケースではなく、・思ったほどニーズがなかった(問い合わせや商談数が少ない)
・聞けばニーズは出てくるが、実際のアクションにはつながらない
・・・ということであれば、『見立て』を誤っていた可能性が高いです。よくあるのは「マーケットがあるはず」という推定の誤謬です。たとえば“投資家向け資料で引用していた公開調査結果”などは市場規模の実態を表していないことが多いため注意が必要です。同様に「インタビューではニーズがあった」もよくあるケース。「こんなサービスがあったらどうですか?」と聞いても、それは『Wish』でしかありません。その人の週間スケジュール、出費の内訳、類似サービスの利用実績といった『Fact』が重要です。
見立てた『つもり』が一番危険。
『見立て』違いのケースに共通するのは、定量調査や定性調査を「なんとなくやっている」ことが多い点です。たとえばアンケートを市場規模推定に使うとき、バイアス検証用の設問をきちんと盛り込んでいなかったり、調査内容に関係なくグループインタビューで済ませてしまったり(グルインはバイアスが特にかかりやすいので運営は注意が必要)、インタビューの場でもWishばかりを聞いてしまったり。
Factをとらえきれていない調査は、間違った判断を後押しするという点において、むしろミスリードのリスクがあります。
顕在ニーズか、潜在ニーズか。
リーンスタートアップなどの手法を採用するときも注意が必要です。リーンは潜在ニーズを対象とした手法であり、顕在ニーズには不向きです。すでにニーズが顕在化している場合(=顧客もサービスも存在している場合)、問われるのはスピードであり、ウォーターフォール型の事業開発のほうが向いています。
また、潜在市場の規模が大きくないと、プロダクト改善を継続するモチベーションが維持できない(投資も継続できない)ことも多いようです。こうしたニーズの『顕在度の見極め』を行う上でも、まず最初の『見立て』が重要と考えます。
登頂の成否を決めるのは、『地図の正確さ』。
既存事業でも『見立て』をあらためて行うと、戦略を根底から揺るがすような事実を発見することが(結構な頻度で)あります。たとえば、自社のプロダクトは順調であると思っていたところ、定量調査を行ってみると、競合の伸び率がそれを遥かに上回っていて急遽戦略を見直した、というのはよくあるケースです。
こうした事例を通じて思うのは、『事実をもとに判断する』ということの重要性です。登山家が、地形・天候などを調べてから、山に足を踏み入れるのと同じように、市場の環境をきちんと『見立て』ることが、目標達成までのスピード・成功率を高めるものと、弊社は考えます。